世の中に三分の一ぐらいウマの合わない人間がいる。反面、三分の一ぐらいウマが合っていわゆる友情にまで発展しそうな人間もいる。あとの残り三分の一は可もなし不可もなし、お互いに不可侵条約を結んだように相手の領域を侵すでもなく、付かず離れずまずは良好な関係を保ちながら過ごせる人間がいる。世の中うまくしたもので、この三位一体の因果関係で回転しているようだ。この図式は生活する周りとの関係、所属する団体などの中でも当てはまり、運悪く会社の組織の中でも見受けられる▼ウマが合わないとは良くいったもので、馬にまたがる前から最初の出会いからどうも波長が合わない場合が多い。インスピレーションというか肌が合わない感覚が生まれるのである。競走馬の場合、その感覚が敏感に馬に伝わって馬がイレ込んだり、折り合いを欠いたりしてスムーズに競争ができなくてみじめな結果を招く場合が多い。ウマが合わないのではなく馬からすれば乗り手がウマに合わないのである。馬はほんらい繊細な動物でやさしく従順な性格をもっている。それをうまく御すことができなければ乗り手としては失格である。戦国の武将ならば、まず常勝の将軍とは言えなく戦果もおぼつかないものとなる▼会社にあって長たる者、この三分の一ずつをうまく使い分け、適材適所に三位一体の強力な三本の矢の構想を実現できるなら業績の発展はバランスよく回転し大きな実を結ぶことになる。狭隘なる心の持主であれば、己れの周囲をウマの合う人間で埋め、持ち上げられることに汲々とし、ウマの合わない者を排除するか、あるいは強者ならば恐怖政治を布いて服従させようとして有能な芽をつんで組織そのものを滅亡させてしまうこともある。世にいう思い上がり独裁者の辿る道筋がそれである。巷間よく見掛けられる情景である▼人間関係においてウマが合わないとは困ったもので、こればかりは如何ともしがたいものがある。相手の存在を認め、それなりに理解しているのに情緒的に相受け入れないのである。感覚的な拒絶反応、嫌悪感が先に立つ。これが以心伝心で相手にも伝わり、両者相反する対象物となってしまう。人間の機微とは言い得て妙である▼人は考えた通りの人間になるというナポレオン・ヒルの言葉がある。人から教わったものだが、すべては人の心が決めると解釈してもよさそうだ。人は勝てると考えると勝てるし、負けると思うと負けると言葉がつづき、成功すると信じる人だけ成功するというのである。ウマが合わないと思えばますますウマが合わなくなるし、嫌な奴だと思えば一層の嫌悪感が生まれて関係はぎくしゃくしたものになっていく。深みがより深刻になるというわけだ。それ故に、ここは排除の精神を持つのではなく、万人をおおらかな心で囲む寛容さを以て人と接することが大事となろう。すべては人の心が決めるからである。世の中には三分の一ずつ心持ちの違う人間が存在することを認識しつつ、それにとらわれることなく、三位一体の包容力をもって人とも世間とも対処していきたいものである。


共同企画 後藤喜好


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