主義・主張や政治理念によって意見が分かれるのは政治の世界においては当りまえ、物事への取り組みもおのずと違ってくる。だが、なるほどと思える正論で迫られたとき軌道修正するのも政治の世界では必要であろうし、また断固突っ揆ねるのも政治の世界であってややこしい。しょっちゅう朝令暮改をやっていたのでは信頼を失うし、頑固一徹に主張を曲げずに突っ走るのも危険なることおびただしい。その兼ね合いのむずかしさが政治のむずかしさでもある▼西東京市議会の一般質問で共産党の女性議員が保谷駅南口の再開発について質問していたが、その論点はなるほどと思えるもので、この事業の核心を衝くものであった。一部市長派と見られる議員のヤジにさえぎられそうであったが、なんでも反対する共産党にしては理路騒然としたものであった▼保谷駅南口の再開発は84億円の事業費を投入し住宅棟を含む商業ビルを建設するもので地権者(土地の権利を持つ人)は21人とか、この人たちがその土地の権利と同じ権利を変換して開発ビルの床を取得する。ほかの借家人とかはそれぞれの権利を変換してもらい、ビルに入るか転出するかを決める。この方式は田無駅北口のアスタビル関係と同じ手法である。そこでくだんの女性議員は「地域経済が冷え込んでいる中、大型ビルを開発したところで消費者を呼び込むだけの効果が得られるのか。不況の折、保留床は処分可能か」と質すわけである。保留床とは従前の権利者が床を買わないためにビルの床が残ることで、これは事業者が抱え込むことになり、売れ残れば商業ビルは虫食い状態となって失敗する。再開発の基本的な問題だ▼アスタの時は西友が途中撤退して市が保留床を抱えることになり、関係者は死に物狂いとなって安田生命に買ってもらった経緯がある。いまの時代そうそう殊勝な億万長者は存在しないだろうし、商業地としての適正も問われている。すなわち人が通らないのだから、なにもあわてて再開発ビルの建設でもあるまいということである▼合併する前から保谷駅南口の再開発計画はあったのかどうか旧田無の住民は知らなかったのは事実。合併と同時に出てきた感さえあって行政側も意地になっているのではないかとさえ思える▼つづけて議員は「再開発に伴う住宅、店舗等の需要調査はやったのか」と追求するわけである。84億円が生きてくるのかと質するのだ▼ひばりヶ丘南口にも高層ビルの計画があってビルラッシュつづきである。商業人口がそれほど顕在するのか。まだきゃべつ畑があってそれをはさんで僅かな空間に二つも大きな商業棟が必要なのか首をかしげたくなる▼自分と主張が違うからと相手の言う事を無視するのは危険だ。政治の世界も同じだ。民間人に冒険は許されるし冒険のない企業は発展しない。だが政治の世界では、自分の命を賭した冒険以外は慎重にすべきである。


共同企画 後藤喜好