暑かった夏も間もなく終わる。そんな夏の盛りに、また企業の不祥事件が発覚して世間をおどろかせた。日本ハムグループ内で起きた牛肉偽装問題である。「えっ、あんな大きな会社までやったのか!」世間の信用はいっぺんに失墜し、日本ハムグループに大きなクライシス(危機)をもたらしてしまった。今後の対応しだいではグループ内に倒産、解雇の問題も発生してこよう▼ここのところ難攻不落を堅持していた大企業にいろんな不祥事が発生し、そして発覚している。それもある一定期間がすぎて、逃げおおせたかなと思える頃に事件が発覚するからおそろしい。まさに天網恢々疎にして漏らさずである。不義不正はかならずあばかれる。それはなにも天地神明によって正されるというような大仰な神がかり的なものではなく、社会的な環境の変化によってもたらされるようになった。それは、内部告発が不可避の時代に突入したからともいえる。企業の上層部が逃げの一手に出たり、隠蔽工作をおこなって責任回避に出たりすると必ずそれらは暴露の対象となってしまう。いさぎよさと責任感をいまほど要求される時代はない▼みずほ銀行頭取の無責任な表情の弁明、三井物産社長の逃げそこないの謝罪など、先の雪印乳業社長の言動とどこか一脈似通っていて、おのれの企業のイメージダウンに大いに貢献したという皮肉な結果をもたらしている。不祥事はなぜ起きたのかではなく、不祥事にどう対処したかが問われるのがいまの時代なのである。企業のクライシスを救うのは、対応の迅速性であり、透明性である。一人の記者、カメラマンの背後には数百万人の国民の目があることを忘れてはならない▼そのことを認識している経営者はどれほど存在しているか、ほとんどの経営者はそのことを理屈としては知っていよう、また、心構えは持っているだろう、ただ、自らの責任において対処する勇気がないだけだ。企業のクライシスが発生したならば、毅然として立ち向う積極性と危機意識がもっとも大事なのである。企業の危急存亡はその一瞬にある。上場企業ならば、多くの株主にも大きな株価の下落で損害を与えてしまう▼こんどの日本ハムの場合、グループ全体が大きくなりすぎ、子会社の不祥事が本体上層部まで届いていなかったとの説もある。届いていたなら早急に対処されたかもしれない。けだし、同族会社的な一面もあり、経営トップに内緒にし事を処理したのは、トップに怒られ馘にされたくなかったからであろう、ここにサラリーマンの悲哀がのぞく。創業者がいつまでも君臨していると、企業を衰退させる要因ともなる。いま流行のヒラメ現象である。上ばかり見て下を見ないために、下の大衆が無視されるのである。大衆に迎合せよとは言わないが、大衆の目を大事にすることが危機管理の第一歩であることをお忘れなく。


共同企画 後藤喜好