「どうなってんの? いったい」。西東京市が誕生して、新市長が決まって、表面上は一件落着の様相だが、都心に出たり、よそで知人に会ったりすると大げさな表情で聞き糺される。大方はうすら笑い付きであり、中には深刻そうな表情の方もいるが、そこには軽蔑した視線があってなんとも不愉快である。相手の触れたいことは市長選における田中長野県知事からのニセ電報の件である。新聞やテレビで全国に報道されているから全国規模で活躍されている著名人はさぞ肩身のせまい思いで両手をひろげ、お手上げの恰好をしているのではないかと思う▼市長選の前日に1万枚はばら蒔かれたと言われる前田無市長への中傷ビラについてはあまり普遍性がなく理解できない面もあってか、あまり話題にはならない。あるいはそんなこともあるのだろうと納得している部分があるとすればニセ電報以上におそろしいことであるが▼田無都市開発(株)に約3億円弱の資本金(もちろん税金)を投入、会社の不良債権を一掃し優良会社にして保谷市との合併を迎えようとしたのが事の成り行き。田無市議会でも十分に論議され議会の承認を得たものである。田無市の第三セクターであるから社長は当時の市長末木達男氏。無報酬の名前だけの社長。田無駅前開発で田無市は売れ残った開発ビルの床を田無都市開発(株)に買い取らせた経緯がある。それが土地の下落で価格が3分の1以下となり、会社の経営を圧迫するようになった。そこで会社は減資した上で、改めて増資をし会社の優良化をはかった。資本主義社会ではよく実施される商法上の行為(本紙220号に詳報)。それを「なぜあなたの会社に市民の税金で3億円も援助するの?」と書かれたわけである。3億円投入は事実であるからその様に表現することも可能ではあろうが▼さかのぼって1月12日前保谷市長の保谷高範氏が保谷市役所で記者会見を開き、出馬を表明した。保谷氏を支援する両市の市議も出席。記者団から「なぜ保谷氏支持か」の質問がとんだ。そのとき市議の一人が保谷氏の人柄を挙げ個人的支持であると強調、最後に「田無都市開発に3億円もの税金を投入したのは不可解」との見解を示した。記事席にいた私は「おォ」と思い「議会の承認を得た増資であり、それを不可とするのは議会を無視することでは」と思ったが、討論の場ではなく記者会見であるからと発言を差し控えた。そして「これは利用されるな」と予感したのであった。怪文書のビラをわが家のポストで発見したとき、耐え難いほどの憤りを覚えたのも事実である。それは公的資金投入に対してではなく、ちょっとしたゴロ新聞でも表現できない文言が目にとび込んできたからであった▼祝福された西東京市の誕生であったのに、どこからも嗤われているような新市の誕生。市民は高い代償を払ったが、ウソを嗅ぐ嗅覚だけは敏感になったようだ。


共同企画 後藤喜好