東久留米市の南西部、80haにも及ぶ区画整理事業によって完成した公団滝山団地は、分譲住宅2、120戸、賃貸住宅1、060戸のマンモス団地。整然と立ち並ぶ住宅棟、植樹された沿道の並木は新緑が美しい。団地のメーンストリート・滝山中央通りから一本入ったところに、今回取り上げる「滝山中央名店会」がある。全長およそ100mの通路を挟ん
で、左右に50軒弱の商店が建ち並ぶ。滝山団地の住民にとって、長年慣れ親しんだ商店街の活気がそこにあった。
■滝山団地の中心的役割
滝山中央名店会は、昭和43年の団地完成とともに組織された商店街だ。大型店がふたつ(マツモトキヨシ、スーパーヤマザキ)あるほか、家電や寝具など買い回り品を扱う店舗も多く、品揃えが豊富で団地外からも集客する。また、銀行や市役所の出張所、図書館、郵便局、病院、保育園などが隣接しており、滝山団地の中心的な役割を担う。
東久留米市民から待望されていた商店街だけに、オープン当時は連日、買い物客であふれ「通りの
向かい側の店が(人で)見えなかった」(白十字クリーニング・藤田典保さん)ほどの盛況ぶりだった。だが、いい時期は長く続かない。大手スーパー・イトーヨーカドーが近隣に参入してきたのである。競合する商店は大きな痛手を受けた
。
▲発足当時の滝山中央名店会(写真提供:古川武雄氏)
▲滝山・前沢みんなの祭りには、毎年10万人以上が訪れる
だが、滝山にある7商店会の人たちはくじけなかった。大型店参入と前後するように、自分たちの手で祭りを作った。「滝山・前沢みんなの夏まつり」である。
毎年8月の第3土・日の2日間にわたって開催されるこの大イベントは毎年、市内・外から10万人以上の観衆を集める。この祭りに、商店街は一致団結する。28回目となる今年は、8月23、24日の予定。
■安心して買い物できる街へ
商店街を歩いていると感じるのが、通路中央に散乱する買い物客の自転車。それだけ人が集まっているということもあるが、無秩序に置かれた自転車で通行の妨げにならないのか気になった。そこで名店会の渥美佳之会長(パナピットマツオカ)に聞いてみると「確かに(自転車を)なんとかしたい。通路中央には土、日にテントを設置して、お客様休憩所として試験的にご利用いただいているが、これを常設のものとしたい」と環境整備に意欲を燃やす。
また、商店会の両入口に自転車止めを設け、通路にはアーケードを作り、高齢者にも安心して歩けるようにするプランもある。「商店街の環境整備を進めて、お客様が安心して買い物でき、楽しい時間を過ごしていただけるようにしたい」と渥美会長は話す。
■同業店同士が互いに向上
▲買い物客でにぎわう商店街は滝山団地の中心
大型店が近隣にあるものの、依然として活気あふれる滝山中央名店会。その秘密は、店同士の切磋琢磨にあるという。「(大型店は)あってもいいんじゃない?同業が複数あって、品物が豊富に揃うのはお客様のためでもあるし、それって商店街の力だと思うな」と渥美会長は威勢がいい。
すでに発足から35年。商店街の代替わりもスムーズに進んでいるようで(10軒が二代目店主)、ますます勢いがある滝山中央名店会。鉄道駅から遠いというハンデをものともせず、互いに向上し合おうとする努力と、つねに客の利便性を追求する姿勢が、元気の源であると思わされた。
文・取材/水澤 敬
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