03.3月号表紙「花小金井商栄会」
▲老舗の菓子屋ゆえ、多くの子どもたちと接してきた和代さん
▲車と歩行者で混雑する駅北口、花小金井駅前通の様子。計画では駅前広場になる場所。右は移転する拓殖大学第一高校

▲駅から見た南口の風景。北口とは対照的にロータリーは整備されているが閑散とした感は否めない

 花見客のための駅として昭和初期に誕生した西武新宿線花小金井駅。花小金井駅と言えば、整備され「こだいらグリーンロード」が通るのどかな南口と、狭いロータリーに雑然とした商店街がある北口の好対照が印象的。その小平市花小金井で現在、住宅を軸とした新たなまちづくりが進行している。今回は、大きな変貌を遂げようとしている花小金井駅北口の商店街を散策し、地元に根付く商店の声や思いに耳を傾けた。

■昭和35年に誕生
 西武新宿線花小金井駅の北口を中心に、加盟店舗約140店を数える花小金井商栄会。その歩みは西武鉄道が開通し、花小金井駅が誕生した昭和2年に遡る。その後、戦後の復興とともに商店数も増え、商店街を形成していく。そして、昭和35年に花小金井商栄会として組織が発足した。
 たばこ・菓子を商う村野政男商栄会会長(55歳)は、昭和16年の創業から数えて三代目。もともとサラリーマンだった村野会長が、昭和56年に「店をたたむのはしのびない」と義父の跡を継いだ。
 今日も店は子どもたちで賑わう。村野会長と和代夫人は「小学生が『お父さんも子供の頃、ここでお菓子を買っていたんだ』と話すのを聞くと、嬉しくなる」と目を細める。

■人情味ある商店街
 駅北口を右手に進むと、「はなこさくら通り」へ。そこに花小金井でも老舗の一つに挙げられる鮮魚店があり、三代目の村野啓七さん(44歳)が威勢のいい声を響かせる。村野会長の親戚で、大のお祭り好きだと聞く村野さんは噂に違わず豪放磊落。聞けば商店街の祭りやイベントには店を休んででも参加するという。
 店の前を行き交う人とは顔馴染みも多く、気軽に挨拶を交わす。「馴染み客が多いためか、こちらから電話して入荷した魚を知らせるよ」と話し、商店街に息づく人情味を教えてくれた。

■花小金井を熱くするサンバ
 花小金井と言えば、夏を彩る7月下旬に開かれるサンバフェスティバルが有名だ。
 平成9年のスタート時から携わってきたのは、商栄会販売促進・広報を担当する飯野英雄さん(34歳)。6年前、従来の阿波踊りに替わる祭りを模索していた商栄会がサンバに着目し、たまたまサンバサークルに知人がいた飯野さんが橋渡し役をすることに。以来、ずっとサンバの世話係だ。
 その飯野さんも7、8年前に脱サラして文具・印刷を営む家業に入った。ゆくゆくは三代目として、店を引き継ぐことになる。「ずっと地元に住み(商栄会の)仲間や住民と親しくしていたので、自然の流れで家業に入った。宿命かな」と笑みをもらす。そのさらりとした口調とは裏腹に商店街の発展には、人一倍情熱を傾ける。
 今年もサンバフェスティバルがまちを熱くする。飯野さんは「サンバは自分たちの楽しみでもあり、地元への感謝の気持ちでもある」と語る。

■まちづくりに寄せる思い
 現在、花小金井駅北地区では、都市公団による住宅市街地整備総合支援事業が進んでいる。駅北口前の拓殖大学第一高校が移転、その跡地に住宅棟を造成する計画だ。完成は平成17年度で、併せて周辺の道路も整備される。
 村野会長をはじめ、飯野さん、村野さんにまちづくりに寄せる思いを語ってもらった。
 村野会長は「住民が700〜1、000人増える。みんなに気持ちよく買い物をしてもらえる商店街にしたい」と話し、今後、会長として都市公団らに上げる商栄会の要望をまとめていく。飯野さんは「道路の段差をなくしたり、障害者用の公衆トイレを作るなど、バリアフリーを意識したまちづくりはどうか」とのアイデアを披露する。村野さんは「花小金井がきれいになることは嬉しい。ただ、中身は今まで通り人情味に溢れたまちであって欲しい」と望む。

 3人の言葉の端々に地元を愛する気持ちが感じられる。時代の流れとともにまちの様相は変わるが、培われた人情は変わらない、ということだろう。新しく生まれ変わるまち花小金井。どのような花を咲かせてくれるのか楽しみだ。

文・取材/釣 秀一

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